デジタル世界のためのグローバルなスキルとコンピテンシーのフレームワーク

SFIAとスキル管理

SFIA は、スキルとコンピテンシの管理を支援するリソースを提供します。SFIAの採用は、組織およびサプライチェーン全体の中で必要とされるスキルの認識および配置を明確にします。

SFIAはスキル管理サイクル全体への共通言語を提供します。これは、ライン長、人事部、従業員など、関連する全員のコミュニケーションと理解を改善します。SFIAを利用することにより、組織は一貫した総合的なスキルおよび人材管理体系を実現することができます。

SFIA Process Wheel

包括的なリソース戦略とスキル管理

SFIAは、スキル管理プロセスに使われるのと同じ能力基準により、現行能力測定と将来要求計画を含む要求把握に使われます。

組織は、容易に理解可能なスキルとレベルの定義を通して採用と配置に一貫性を持たせることができます。これにより、人材の不適切な配置によるリスクと損失の可能性を低減します。

人材の能力の理解と、専門家の開発計画のために共通言語を利用することは、スキル開発の構造と注目をもたらします。

人材育成に共通言語と構造を持つことにより、採用と配置、専門家育成計画、および人材の能力を理解することにおいて一貫性を持つことが出来ます。

このサイクルの構造は、SFIAの利用開始を意味するわけではないのです。SFIAの利用の最初は、従業員満足やスキル開発などの特定の課題や機会への対応で良いです。課題は一つのチームやプロジェクト、あるいは技術部門全体の新規運用モデルの一部など広範囲なものであっても構いません。最初のきっかけにかかわらず、SFIAの利用はサイクルの別の場所に要求に応じて展開できます。

組織の視点から見ると、一つの論理的な開始場所は、採用する新たな人材を知るところかもしれません。

計画と整理

ターゲット運用モデルと組織構造の設計および人材計画の実行

SFIAを使用して、組織設計とターゲット運用モデルを設計および検証できます。 ポジション/役割分析とスキルマッピングにSFIAを使用すると、組織設計におけるポジションの範囲の迅速なクロスチェックと効果的なボトムアップレビューが出来ます。 SFIAの責任レベルは、管理範囲と組織レベルの数を最適化するのに役立ちます。 一般的なSFIAベースのプロファイルは、組織の俊敏性を大幅に向上させます。 これにより、運用モデルと組織の設計を、書き直すことなく柔軟に変更できます。

SFIAは、特定の運用モデルや組織構造を想定していません。 SFIAは、機能モデル、階層モデル、またはプロセス駆動型モデルの場合と同様に、アジャイルで協調的な作業慣行を可能にするのに同様に効果的です。

職務記述書と役割プロファイルの作成

SFIAベースの役割プロファイル、職務記述書、およびスキルプロファイルは、組織におけるSFIAの最も一般的な使用法です。 フレームワークを使用する際にはコンテキストが重要であり、スキルを個別に使用して単一の職務記述書または役割プロファイルを形成するのではなく、組織のニーズを理解することが重要です。 具体的な組み合わせは、組織ごとに異なります。

SFIAによって整理された職務記述書と役割プロファイルが有用かつ評判なのには理由があります。

  • 完全なスキル管理サイクルを支援できる。
  • 期待を満たすための生産性と成果目標を明確にする。
  • 必要なスキルを持った個人を採用・育成する確率をあげることにより、ビジネス上のリスクを低減します。これは組織と個人双方にとって望ましいことであり、個人が「業務が思っていたものと違う」と感じたり、個人が業務を効率的に遂行するための適切なスキルを持っていないことを組織が見出したりすることによる転職のコストを低減します。

多くの組織は、標準的なスキルを組み合わせることにより、このプロセスを合理化しています。これは一般的に役割プロファイルや専門家プロファイルと呼ばれています。SFIAを適切に適用するためには、スキル、役割、業務の関係を明確にすることが重要です。

SFIAは、個人が実行することを求められる全てのことを網羅することを目的としていません。SFIAは、製品や固有技術のスキルや知識、業界経験や資格などを扱いません。例えば、サービスデスクのマネジャーには、特定のプロセスフレームワーク(ITILやCOBITなど)と、その組織で使われている特定のサービスデスクツールの知識、さらには業界固有の経験、セキュリティ要件、特定の資格などが必要とされます。

SFIAの利用は、業務/役割の設計に大いに役立つが、フレームワークそのものは役割、業務、組織単位を定義するものではなく、それらの構築を支援する構成要素を提供するにすぎません。SFIAには、組織設計のテンプレートや例示、推奨などは存在しません。更に、SFIAのカテゴリやサブカテゴリは、特定の組織、部門、チームや業務を意味することに用いるべきではありません。

業務は、1つ以上の役割で構成され、同様に、役割は適切なスキルレベルの1つ以上のスキルで構成されます。例えば、ある組織において、サービスデスクマネジャーの求人が公開されていると想定します。この業務には、インシデント管理プロセスオーナー、メジャーインシデントマネジャーおよびナレッジ管理プロセスオーナーの役割(およびその他の役割)が含まれます。それぞれの役割は、SFIAによって定義される1つ以上の特定のレベルのスキルから構成されます。

例えば、メジャーインシデントマネジャーの役割と、この役割を担う人が実行しなければならない作業の詳細は、インシデントマネジメントプロセスに定義することができます。この役割プロファイルは、役割に関する一般的な責任レベルを記述するためにSFIAを利用し、この役割を要求される基準で一貫して実行するためのSFIAのスキルとスキルレベルを含みます。この役割は様々な役職の複数の人材により実行されることがあるため、複数の職務記述書に記載されます。

人材獲得

適切なスキルの採用、スタッフ補充および人材業者との連携管理

SFIAは適切なスキルを持った人材の採用を支援する。採用は複数のルートから行われます。

  • 人材の獲得(正社員、臨時社員、請負契約社員)
  • 合併および買収
  • サービス提供業者との契約(例:アウトソース、人材派遣、業務請負、教育、訓練、コンサルティング)

SFIAを元にした職務/業務記述書は、必要とされる責任レベルとスキルを明確にします。それによって、適切な候補者に訴求することができます。その後のアセスメントと採用基準は、SFIAのスキルとレベルに連携させることができます。

同様の手法は、人員整理などの結果としての人材の放出や分割にも利用することができます。

アウトソーシングおよびオフショアの場合、顧客とサプライヤーの双方に対して、SFIAは、求められ・提供される能力の定義について、明確で透明性の高い基準を提供します。

リソースベースのサービスの調達は、SFIAレートカードが役立ちます。 これらにより、サプライヤーからのリソースベースのサービスを比較できます。 サービスプロバイダーは、提供物や人員をSFIAのスキルとレベルにマッピングします。 リソースのコストの違いが明確になります。 クライアントは、デプロイされたリソースが要件を満たすために必要なスキルを持っていることを確認できます。 

人材配置

能力に応じた人材の配置

効果的なスキル管理は、組織と個人の両方にとって最適な方法で、人々を働かせることを可能にします。マネジャーは、人々を適切な業務につけることによって、モチベーション、エンゲージメント、生産性を改善します。目的の定まった配置は、個人にとって新たなスキルを開拓する良い機会も与えます。

プロジェクトや運用のリスクは、適切なスキルを持った人材を割り当てることで減少します。SFIAを利用することは、単なる知識だけでなく、実際の能力を元にこれを行うことを意味します。適切な配置は、人材のより効率的な利用、適切な育成、人材派遣費用の削減可能性などに繋がります。マネジャーは、チームに不足しているスキルに着目し、それらのリスクに対処するために人材を配置することにSFIAを利用します。

SFIAの柔軟性は、機能的な組織構造を可能にするだけでなく、リソース展開のための他のアプローチをサポートします。 これには、コンピテンシセンターまたはリソースプールが含まれます。 これらのモデルでは、リソースは一時的な取り組み、アジャイルプロジェクトチーム、さらには個々のタスクに割り当てられます。

請負業者であろうとサービスプロバイダーであろうと、外部から調達した機能が適切なタスクに展開されるようにすることは、望ましい結果とコストパフォーマンスを確保するために不可欠です。 組織はSFIAを使用して、請負業者の交換プログラムによる潜在的なコスト削減を特定できます。 請負業者が提供するスキルを特定することにより、それらのスキルを社内で取得または開発するための計画を立てることができます。

アセス

スキル、スキルの要求、パフォーマンスと能力のアセス

SFIAは、個人および組織レベルでの既存の能力のアセスメントに広範囲に利用されています。アセスメントは、後に続く分析と育成の入力となる、重要な初期の診断ステージです。

SFIAはスキルアセスメントを行うための強力な診断ツールを提供します。個人は既有のスキルおよび経験のアセス、目標の設定、および自らが達成しようとするスキルとそのレベルを特定することによる専門家育成計画に、そのアセスメントを利用することができます。

組織は、個人のスキルを客観的にアセスして、その後の分析と開発計画をサポートできます。 SFIAの客観的説明は、マネジャーがアセス対象者によって合意されたアセスメントに到達するのに役立ちます。

コアフレームワーク自体は、個人または組織がされるべきアセスメントまたはスキルの特定の組み合わせについての指示を提供しません。 アセスメントガイドラインはSFIAグローバルコミュニティによって作成されました-これらはウェブサイトで入手できます。

分析

スキルのギャップ、育成の要求と機会の特定のための業績と能力の分析

分析はアセスメントと密接に関連しています。 スキルアセスメントを確立したら、アセスメントデータを分析して、開発ニーズを含む意思決定に情報を提供できます。 パフォーマンスは、ビジネス目標に対してアセスされ、開発目標の場合は、SFIAスキルを参照して評価されます。

SFIAの実用的な定義は、実績の分析により個人の強みと育成の必要性を明らかにすることを可能にします。これにより、マネジャーが個人のコンピタンスをアセスし、その個人の業績の背景を分析することができるようになります。 このように業績の分析と個人への説明に客観性を持たせることは、評価に対する従業員の満足度、モチベーション向上、定着率の改善に繋がります。

アセスメント情報は、組織が所有していると考えるスキル能力と、必要となるスキルを特定するために組み合わせて利用することができます。これがスキルギャップとなるが、安定したフレームワークを利用することにより誤解の可能性が下がります。

変化する顧客要件、合併および買収、新しいサービスまたは製品、市場の動向またはビジネス目標の変化など、ビジネス変化の時期においては、スキルの持つ影響を特定、表現するためにSFIAを使用し、計画と提供をサポートすることができます。

育成

能力と実績を形成およびキャリアパス提供のための育成業務の企画と実行

組織の要求に沿った個人の能力開発は、SFIAの客観的なコンピテンシの表現に基づいて行われる。

SFIAは、以下の要素に基づいて、育成目標の定義の支援に利用することができる。

  • 育成すべきスキルまたはスキル要素を見極める
  • 目標とする能力の水準を明確化する
  • どのように育成が実現され、どのような支援が必要とされるかについての、決定および合意を支援する

支援は、座学やトレーニングコースなどに限らず、様々な異なったやり方によって行われます。例えば、コーチング、メンタリング、背伸びした業務、観察学習、トレーニングと認証、外部イベントへの参加、勉強会や実践コミュニティへの参加などがあります。

現在のスキルレベルが個人のパフォーマンスにどのように影響を与えるかを適切に分析することにより、実際に機能する、関連性のある開発計画を策定することができます。訓練の具体的な成果をあげることは常に重要です。焦点を絞った開発計画を作成すると、トレーニング予算から得られる価値に大きな違いが生まれます。

SFIAを使用すると、適切な個人の成長、効果的な予算編成が促進され、スキル開発が組織の実際のニーズに沿った方法が得られます。

SFIAは、雇用主が個人やグループの教育と訓練の目標を設定するために使用できます。 また、教育やトレーニングのプロバイダーが学習成果を説明し、効果を高めるために使用することもできます。 これは、雇用主が資格と認証の関連性を理解し、既存のスタッフのトレーニングと教育に的を絞った投資を行うのに役立ちます。

また、個人の定義された育成ニーズを、個人をタスクに割り当てるプロセスに組み込むことも可能です。

報酬

スキルとコンピテンシに応じた個人の報酬と補償

組織はSFIAの責任レベルを、業務評価と格付けに利用することができます。レベルの各要素について、レベル間に明確な差があることは、特に有用です。職務記述書とSFIAのレベルを連携させることにより、業務の格付けが明確になります。

自律性、影響力、複雑度、ビジネススキル、および知識の属性は、ほとんどの職務評価方法を補完します。 これにより、すべての専門分野で一貫した方法で給与のベンチマークが可能になります。

職務記述書と専門家プロフィールをサポートするためにSFIAを使用すると、職務と人々のレベルのアセスメントに大きな客観性が加わります。 個人のパフォーマンスをアセスおよび分析するためのSFIAの使用は、企業内での個人の立場に関する意思決定と伝達をサポートします。 給与や福利厚生、ボーナス制度、フィードバックなどを通じて、個人やサービスプロバイダーがその業績を認められることが不可欠であり、SFIAはそのようなメカニズムの基礎を形成することができます。